第3章 よくある質問と回答
(第3章はSSSホームページからの引用が中心ですhttp://www.seg.co.jp/sss/)
SSS英語学習法に関して、学習者のみなさんからよく寄せられる質問にお答えします。
Q「つまらなくなったらやめる」方式では、実用的な英語力がつかないのではありませんか?
いいえ、つまらないのにガマンしてやると、学習効率が下がります。
英語学習の基礎段階では、理解可能な英語をできるだけ大量にインプットすることが大切です。つまらないものや、わからないものを読んでいる場合、読書スピードは遅くなり、記憶に残りません。従って、時間あたりのインプットの量が少なくなり、効率が著しく低下します。
つまらなくなってしまった時は、かわりに他の自分の興味を引く本を読むことによってインプットの効率を落とさないで済みます。もちろん、つまらないものも読み切ることも英語のプロになる方には必要な訓練だと思います。しかし、英語学習の基礎段階でそのような訓練をする必要はありません。
Q SSS英語学習法は英語力がどのくらいの人を対象にしているのでしょうか?
現在、SSS英語学習法のホームページで紹介している、Penguin の EasyStarts から始める方法は、基本単語を300程度、英語の現在形、現在進行形、過去形などの知識がある方を対象としています。つまり、公立中学2年修了程度の英語の知識をもっていることを前提とした学習法となっています。
Q どうして英和辞典を引いてはいけないのですか?
英和辞典を引かないように勧める理由は、次の4つです。
1、わからない単語を引いていくと、読書を快適なスピードで楽しめない
2、わからない単語を文脈や状況の中で推測する能力を高める
3、わからない単語があっても、それを抜かしても全体の文意を推測する能力を高めるため
4、英和の辞書のほとんどが、英語と日本語の1対1対応の形でかかれているため、英語を理解する上で、かえって妨げになる場合がある。
ただし、辞書を引くことを、一切禁止するわけではありません。どうしても知りたい単語が何度も出てくるような場合、引いて確かめるのはかまいません。この場合、一冊につき、3語程度を目安にして引きすぎないようにして下さい。また、読書中は、読書スピードが落ちるのでできるだけ引かないようにしましょう。
Q 私は、単語は300語くらいしか知らないのですが、辞書無しで読んでいって語彙を増やせるものでしょうか?
はい、増やせます。Graded Readers は、各社のものを組み合わせると、200語からほぼ100語〜200語単位で基本単語数が増えてゆきます。最初は分からなかった単語も、異なった場面で何度も出てくるうちに、内容からの類推でどんどん意味がわかっていきます。また、絵本であれば、かなり頻繁に単語の意味を絵から推測することができます。
Oxford のリーダーには巻末に語彙が英語で説明してあるのでこれも利用できます。従って、各社の本を組み合わせて読んでいくことにより、無理なく語彙を増やせるのです。しかし、そのためには、毎週12000語以上(ペンギンのレベル1で毎週6冊)の読書を継続的に一定期間おこなうことが必要です。どんな学習法であっても、触れる(インプット)時間が少なければ、時間と共に蒸発しますから、語彙は増えません。SSSでは最初の目標である100万語多読を2年以内で通過することを1つの指標にしています。これ以上の時間をかけると、語彙の増える効率が落ちるからです。
SSS学習法を続けていけば読解力はつくと 思うのですが英語を話せるようになりますか?また、海外のドラマや映画を楽しんで見ることができるようになりますか?
リスニング能力をつけるには多読だけでなく、多聴も有効です。これも、Graded Readers のテープ、CDを利用するのが良いと思います。また、話す能力をつけるには、音読やシャドウイングがより効果的です。Graded Readers の朗読テープ、CDをまずシャドウイングしてみて下さい。それだけではなくて、好きな映画のセリフをシャドウイングしてください。早いし、重なっていたりしてきついかもしれませんが、聞き話せるようになるには、これがいちばんだと思います。最初はシャドウイングしやすいところだけでいいでしょう。「好きな映画」というのが大事なところです。DVDであれば、音声も字幕も2ヶ国語を使い分けできますから、日本語字幕で内容をよく理解してから英語字幕を表示してオーバーラッピング(聞こえてくる音とほぼ同時に字幕を読む)、次に字幕を消してシャドウイングするのが無理の無いやりかたでしょう。
レベルを上げていくタイミングがよくわかりません。
分速100語〜200語の場合、あなたが軽快に読めていると感じるならば、上位のレベルあるいは、同レベルでより総単語数の多い本に進んで下さい、心配であれば、現在のレベルの本と上位のレベルの本を交互に読んでみるのが良いでしょう。
分速100語未満の場合には、レベルを上げず、むしろそのレベルの本とその下位のレベルの本を交互に読んでみるのが良いでしょう。しかし、分速は個人差が大きいので(特に大人の場合)、100語未満でも、自分が楽しんで読めている実感が続けばレベルを上げていってかまいません。
どんどんレベルが上がっていっても、易しいレベルの本を時々読むことをSSSでは強く勧めています。多読の速度を上げるにはSight Word、すなわち、見た瞬間に理解できる単語を増やすことが最も重要だからです。また。易しいレベルの本と難しいレベルの本を交互に読むことによって読書速度が速くなることが多数の人から報告されています。
Q SSS学習法では精読を否定しているのですか?
結論からいえば、精読を否定しているわけではありません。但し、英語学習法として、初期には、精読中心でなく、多読中心で行うべきだと主張しています。
日本語の小説などを読むとき、背景は必要な範囲でしか提供されないので、残った部分は適当に想像して読むしかありません。どんな場合でも、適当に補って読むのですから、多少わからないことを飛ばしたって、楽しめる限り全く問題はなく、楽しんで速くたくさん読む方が上達も速いというのがSSSの考えです。「正確に読む」呪縛を取り払えば、ペーパーバックを読めるようになるのは思ったより難しくないし、100万語程度の読書をすれば、自然に文法の基本が身についてしまいます。英語学習の初期の段階では、「正確さ」より「読む速度」、「読む量」を第一に優先にすることが、単位学習時間あたりの英語の理解度を最大にする最良の方法であるというのがSSS英語学習法研究会の主張です。なお、このような主張は、私達が初めてというわけではありません。Input HypothesisのKraschen教授は、ほとんど同じ考えを既に発表されています。
Q 私は日本語でもあまり読書はしません。多読は一部の優秀な人にしかできないのでは?
読書習慣の無い人がSSS式多読にハマった例は数多く報告されていますので、ご心配いりません。意外に思われるかもしれませんが、「わからないところは飛ばす」方式は優秀でまじめな人には、なかなか受け入れがたいのかも知れません。逆に「わりといい加減に、適当に飛ばして読める」人がうまくいったというケースが多いです。
どんな学習法でも10人中10人が成功するというようなものはありません。多読学会の様々な報告から推測すると、高校や大学などで一斉に多読指導を導入した場合、2割から3割の生徒さんが多読に「ハマり」、自ら進んで膨大な量の英語にチャレンジするようになるそうです。つまり成功率は25%程度でしょう。これは従来の中学、高校、大学での英語教育によって英語が使えるようになる確率(1%以下と推測します)と比較すれば、かなり高い数値といえます。多読に興味を持ち、資料を請求して、ここまで読んでいただいているあなたなら、その確率はもっと高いはずです。
また、SSS式多読は他の英語学習法をすべて否定するものではありません。もしもあなたが現在通信教育やスクールに通って学んでいらっしゃるのなら、それはそれで続け、さらに多読をプラスすることの相乗効果で、習得スピードがどんどん上がるかもしれません。