多読による英語習得法
(第2章はSSSホームページからの引用が中心ですhttp://www.seg.co.jp/sss/
SSS式多読とは?
SSS式多読の基本3原則
なぜ、SSS式多読法の効果がそんなに高いのでしょうか?
本のレベル分け
英語がやや得意な方も基本単語200語レベルから
リスニングや会話、英作文にもつながる多読
英語初心者の方の多読法
なぜ100万語なのか
基本1000語のパワー
多読スタートにあたっての一つの難点


SSS式多読とは?(このページのトップへ戻る)
SSS式の100万語多読は従来の多読とはだいぶ違います。これまでは、英語の多読はかなりの上級レベル者にのみ可能と信じられいました。とういうのは、かなりの上級者でないと普通のペーパーバックは読めないからです。英語学習者用に書かれたGraded Readers(使用語彙制限本)を使って多読の授業をしている先生の場合でも、ペンギンリーダーズの2〜3レベル(基本語彙600-1200語レベル)の本から読み始めるように指導するのが主流でした。しかし、この旧来の多読法では、1年間に学生が読むのは5万語〜10万語くらいです。SSS英語学習法は、非常に易しい本からはじめて、旧来の多読法の、約10-20倍の本を使うことにより、非常にゆっくりと段階的に進む多読法です。英語初級者の場合、100万語読んででやっと(旧来の多読の出発点であった)ペンギンリーダーズ2〜3レベルに進む位のゆっくりさです。しかし、無理なく基礎力が付き、早い段階から「読む楽しさ」を味わえるので、従来の多読法と違い、年間100万語〜200万語読むことが十分に可能です。実際、SSS式多読により、1年間で500万語以上読んだ人も続出しています。はじめはゆっくりなのですが、1年後の成果では、これまでのどの多読法よりも、また精読法よりもはるかに高い効果を得ることができます。

SSS式多読の基本3原則(このページのトップへ戻る)
@辞書は引かない(引かなくてもわかる本を読む)
Aわからないことろはとばす(わかっているところをつなげて読む)
Bつまらないものは途中でやめて後回し(楽しく読めない本は読まない)
 これってなんだか、「まじめに勉強はするな、ダメなときはあきらめろ」って言われているようではありませんか?そうなんです。几帳面さや、がんばることは不要なのです。いえ、それらは邪魔でさえあるのです。知らない単語は適当に読み飛ばすくらいのいい加減さが大事なのです。普通の学習法では、指定された題材を読まなければいけません。SSS多読法の良いところは、自分の好きな本を、好きな順番に、自分に固有のペースで読めるということです。また、読書後に試験も無いし、読書感想文を書く必要もありません。自分で分かって楽しめれば良いのです。楽しんで読書をすることによって、生の英語が自然に脳の深層に蓄積していきます。
 Aの「わからないところはとばす」というのは簡単そうですが、最初はかなり抵抗があるものです。というのは、これまでの日本の英語教育では絶対に許されなかったことだからです。従来(現在)の英語教室では知らない単語や、意味のわからないところに焦点をあてて勉強していた(る)わけです。SSS式多読では、わかるところだけをつなぎ合わせることによって意味を把握していきます。実はこれは、私たち日本人が日本語を聞いたり読んだりしている時に自然にやっている方法です。早口の人や方言混じりの言葉を聞く時は、聞き取れたところだけをつなげて、わからなかった部分は適当に推測したり、無視したりしていませんか?多読によって「わかるところだけをつなげていく」技が身につくと、自然とリスニング力や会話力も上がります。多少わからないところがあっても落ち着いて次の英語に集中できるからです。

なぜ、SSS式多読法の効果がそんなに高いのでしょうか?(このページのトップへ戻る)
それは、
1) 楽しいからあきない
2) 自分のペース・好みによって本が読める
3) 今までの英語学習に比べて、10倍から1000倍の英文に触れることができる
からなのです。英語にたくさん触れれば、無理に暗記をしなくても自然に英語は理解でき、書いたり話したりできるようになるのです。そのために重要なことは「楽しくスラスラ読む」ことです。楽しくスラスラ読むには辞書の利用が大敵です。辞書を使わなくても読める本を読んで、辞書をできるだけ使わないようにしましょう。辞書をつい引きたくなってしまう人は、
 1)辞書は引かないと自分で決める。
 2)辞書を引くのはは多くても、1冊3語まで、それも本を読み終えてからと決める。。。ようにするといいでしょう。とにかく一番悪いのは、分からない単語をすべて辞書で確認しようとすることです。分からない単語にこだわると、決してスラスラ読めるようにならないし、リスニングやスピーキングもできるようにはなりません。英文を一語一語読んでいくのではなく、意味のまとまりとして読んでいくことができてはじめて読書を楽しむことができるのです。

本のレベル分け(このページのトップへ戻る)
 SSS式多読法では、中学2年生でも読めるような簡単な本を大量に読むことから始めて、徐々にレベルを上げていきます。ここで主に使用するのが、ロングマン、オックスフォード、ケンブリッジ、マクミランの各社が出版しているGraded Readersという本です。これらは外国人学習者向けに、さまざまなレベル(語彙、文法)の英語で書かれた、わりと薄い読み物です。
 多読をスムーズに進めるためには本の難易度の目安が必要ですが、これらのGraded Readersは、出版社によってレベルわけがまちまちです。そこで、どこの出版社のGraded Readers、あるいは児童書であっても、共通のレベル分けをするためにSSS独自の「読みやすさレベル(以後YL)」が考案されました。SSSが各社の本を読み比べ、また実際に多読をおこなっている中学生から社会人のかたがたの、生の声を聞いて0.0〜9.0の数値で読みやすさを評価しています。たとえばYL0.0の本は表紙に単語一つが載っていて、本の中はまったく単語の無い絵本です。YL0.1では、中学で1ヶ月間英語を学習しただけでも読めるレベルで、各ページに単語が数個出ている絵本です。オックスフォードのリーディングツリー(以後ORTと略)のレベル1がこれにあたります。YL0.3ですと、中学で1学期を終了した程度で読めるもので、1冊に、ほぼ説明不要の簡単な単語だけ150語程度で書かれた絵本です。ORTのレベル3が相当します。SSSが大人の方に多読スタート地点としてお勧めしているペンギンのレベル0(Easystarts)はYL0.8です。
 SSS独自のYL数値以外に、もう一つ知っておきたいレベル表示があります。基本単語数と総語数です。たとえば「基本単語200語、総語数1000語の本」とは「基本的な200の単語(とその変化形)だけを使って書かれた、総語数1000語の本」を表します。
 SSS式多読ではYLの低いシリーズから順々に読んでいくことを原則にしていますが、同じYL数値の本でも、興味の持てる内容かどうかで、読みやすさが大きく異なることもあります。あまり数値にこだわらずに、自分が楽しんでいるかどうかの感覚を優先して読書をすすめてください。SSS英語学習法は、英語を学ぶことよりも、"英語でお話を楽しむ"、"英語でわくわくする話を楽しむ"、"英語の本を読んで感動する"ことを重視しています。
 本のレベルや内容に関しては「今日から読みます英語100万語」(日本実業出版社)に大量の本が詳しく紹介されていますので、ぜひご利用ください。

英語がやや得意な方も基本単語200語レベルから(このページのトップへ戻る)
 SSSでは英語がやや得意な方でも、基本単語200語レベルの「PenguinのEasystarts」の本を、数冊(できれば10冊程度)読むところから始めるのが良いと考えます。というのは、基本レベルの本ほど、最重要基本単語の出現率が高いからです。Easystartsの本は英語を理解する上で一番重要な200語で構成されています。一方、基本1000語レベルの本では、最重要200語の比率は下がってしまいます。多読、すなわち英語を単語のまとまりで読む技術を身につけるには、重要・頻出の単語ほど理解度を高くする必要があります。ですから、200語レベルの本から、順々にレベルを上げていくのが最も効率的なのです。多少やさしすぎると感じても、Penguin Easystartsを10,000語(10冊)読んで、基本単語に関する理解を再確認し、多読・速読の感じをつかむことをお薦めします。その上で、基本単語300語〜400語のレベル1の本を数万語(約10冊)読んで下さい。英語が得意な方の場合には、Easystartsの本は、1冊5分以内で読めるでしょうから、立ち読みですますこともできます。なお、環境に恵まれている場合には、Oxford Reading Tree から始めるのが理想的です。

リスニングや会話、英作文にもつながる多読(このページのトップへ戻る)
「読むだけで会話力までつくのですか?」よく聞かれる質問です。結論から言うと、読むだけでも会話力はアップします。会話の第1歩は相手の言うことが理解できる、つまりリスニング力です。読むだけで聞き取り能力までアップするのです。ちょっと不思議な感じがしますが、日本語であれ英語であれ、文字を読んでいる時、多くの人は文字を無意識のうちに頭の中で音声化しながら理解しています。今、この小冊子を読んでいるみなさんはどうでしょうか?頭の中で音声になっていませんか?たくさんの英語を読むことによって、頭の中の英語処理能力が高まるのです。聴いてわかるためには、聴こえてくるくる速度以上の英語処理速度(理解速度)が必要です。多読によってこの処理速度が身につけば、おのずとリスニング力も高まり、それが会話力にもつながっていくというわけです。

英語初心者の方の多読法(このページのトップへ戻る)
 英語が得意ではない中学2年生〜中学3年生、あるいは高校時代英語が全く不得意だった大学生、大昔英語を勉強したものの、今はほとんど忘れている社会人のかたのSSS多読法を簡単に解説します。次の英文を読んでわかる程度の英語力があれば、多読は十分に始められます。
I have a pen. / I love you. / This is a pen. / I am a student. いかがでしょうか?
 まず、最初は、ORT(Oxford Reading Tree)を中心とする、1頁に2〜3語の単語・短文しかない絵本から読みはじめます。これらの本では、絵の内容から、容易に文章の内容を推定することができます。ごく最初の段階から、日本語に訳すのではなく、英語としてなんとなく意味がわかることを重視して読んで行きます。辞書は引きません。
 初心者向けの多読教材には、CDがついているものも多いので、本を開いて一緒にCDを聞いたりシャドウイングも行い、英語の音を出す練習も併行するのが効果的です。

なぜ100万語なのか(このページのトップへ戻る)
 基本1000語が身について使えるようになるのに必要な読書量が、その1000倍の「100万語」です。さまざまな英文にどれだけの種類の単語が使用されているかの統計はいろいろとありますが、結果の数値はだいたい同じです。たとえばふつうの英字新聞や大人向けのペーパーバックでは、基本1000語が全体の約80%を占めます。基本3000語で約90%、基本5000語で約93.5%です。つまり最初の基本1000語だけで80%も占めるのに、さらに2000語追加してもたったの10%しか上がっていません。さらに2000語増やした場合には、たった3.5%の上昇です。最初の基本1000語がその後の数千語よりよっぽど頻繁に使われている大切な部分であることがおわかりいただけるのではないでしょうか?

基本1000語のパワー
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 これについては「快読100万語!ペーパーバックへの道」酒井邦秀/著(ちくま学芸文庫)にCNNのトークショーを分析した結果があるので、その部分を引用させていただきます。以下引用-------
アメリカ発のニュース局CNNにラリー・キング・ライブという対談番組があります。(途中省略)その番組の記録の中から2001年1月に放送された、お医者さんとの対談を分析してみましょう。全体で9000語あまり使われている単語の種類は1400種類(活用形も1つと数えています)。1400種類のさまざまな語のうち、1000語までの言葉が全体の95%を占めています。そして栄養についての話なので多少専門的な語が残りの5%に含まれています。その中からすこし見本を取り出すと、医学や栄養学に関係する語が目立ちます。
fructose, genome, inhalant, portions, neurologic, などです。実はこうした語はこの話の中では大事な語で、これがわからわないとお医者さんの話の大事な部分が理解できない可能性があります。けれども、こうした対談に出てくる専門家は一般視聴者をちゃんと意識していて、ちょっとでも難しい用語は言い換えて説明してくれます。ですから基本の1000語あまりが血となり肉となっていれば、テレビのトークショーで使われるほとんどの言葉は理解できることがわかります。
 ちなみにモニカ・ルインスキーという、クリントン大統領との醜聞で有名になった女性との対談は、全部で7000語、語の種類は活用形を一つ一つ別に数えても1142語です。おもにその後の暮らしぶりを語っているので、専門用語はほとんど出てきません。日常生活には1000語を知っていればほぼ大丈夫ということがわかっていただけるのではないでしょうか。(引用終わり)

多読スタートにあたっての一つの難点(このページのトップへ戻る)
 SSS式多読を始めるのに、1つだけ難点があります。それは初心者ほど本代が高くつく。。。という点です。実際に本を購入してみればわかりますが、オックスフォードのReading Treeのような厚さ3ミリの絵本であっても、ハリーポッターのような厚さ3〜4センチのペーパーバックでも、値段はそれほど変わりません(500〜900円程度)。スタート時点の英語力(語彙力)があまり無い方ですとレベル0や1のやさしくて薄い本を数百冊という単位で大量に読んでいきますから、本代が非常に高くなってしまいます。ひとりで多読を始める方は、これが壁となって最初の30冊くらいでストップしてしまうという方も多いのではないかと思います。たとえばYL(読みやすさレベル)1.5、総語数が3000語程度の本で100万語にたどり着くには単純計算で333冊の本が必要になります。1冊600円で購入したとすると約20万円となり、これを1年〜2年以内で読み終えるのが目標です。英会話スクールの授業料と比較すればそれほど高額でもないのですが、個人にとっては決して小さな金額ではありません。
 また、1冊600円もする本を「つまらなかったらやめて後回し」するのも躊躇するものです。さらに洋書は中身を見てから買うということも、なかなかできません。
 多読クラブは、教室内および貸し出しによって自宅や通勤時間を利用し、自主的に多読を進める方の集まりです。特に多読初心者の方にぴったりです。会費は2年間通ったとしても7万円ちょっと。わりと時間の取れる方なら1年以内(4万円以内)で100万語を達成できるはずです。めでたく100万語を越え、読みやすさレベルで3以上の本が楽に読めるようになれば、もうご自分で好きな本を購入するほうが安上がりになるかもしれません。